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加速度的に変化する時代のリーダーをつくる

No.377/2018年4月号
早稲田大学理工学術院<br/>
先進理工学専攻教授・主任 朝日 透
早稲田大学理工学術院
先進理工学専攻教授・主任
朝日 透
5年目を迎えた早稲田大学リーディング理工学博士プログラムは、具体的にはどのようなプログラムですか。
朝日:文部科学省の「博士課程教育リーディングプログラム」に採択されたプログラムで、修士学位を出さない博士課程のみの5年一貫教育を行います。学部4年生の時に博士課程に行くと覚悟した学生たちを対象としているので、率直にいって皆熱心で優秀です。
本学では、「エネルギー・ネクスト」を旗頭にするエネルギー・新材料・デバイス研究の分野と、「システム・ネクスト」を標榜する産業機械と情報・通信を融合した研究分野に関係する2つのプログラムがあります。前者を私が率いているのですが、「専門力」を付けるのはもちろんのこと、視野の広い「俯瞰力」、新しい領域を開拓する「進取力」の3つの力を身に付けることができるのが、このプログラムの最大の特徴です。
専門分野を持ちながら、他分野にも視野を広げ、将来を見据えて、現代社会が抱えている地球規模の問題の解決策を見いだせる人材を育てよう、21世紀のリーダーをつくろうというのが目的です。
どのようにして、深く、広く、柔らかい頭脳と思考を持たせるのですか。
朝日:海外の大学や研究機関で2~3カ月間共同研究を行う「研究機関実習」と、国内外の企業や国際機関で2~3カ月働く「企業インターンシップ」の2つが大きいですね。海外の研究機関に滞在する時は、お客さんになることなく一緒に研究して、「次なる研究のタネを探してこい」と激励しています。
また、文理融合も積極的に進めており、政治学研究科ジャーナリズムコース、経営デザイン専攻の技術経営コースの設置科目も履修できます。例えば、エネルギー関連の問題に関して、理工学からの視点では、「いかに 解決するか」が主となりますが、ジャーナリズムコースでは「何が間違っていたのか」など異なった視点から追求します。その視点の違いが面白く、モノ・コトを見る目、技術的側面だけでなく社会的にもモノ・コトを解決 に導く広い視野を養うことができます。
また、最近では、ビッグデータやAIがあらゆる分野で大きな力を持つようになっているので、こういうものも扱えるようなカリキュラムも新たに組んでいます。
5年目を迎えたこのプログラムは、成功だったといえるということでしょうか。
朝日:確実にそういえます。昨年、初めての修了生が出たのですが、アカデミアの世界に進んだ者が半分、企業に就職した者が半分です。今年は3分の2が企業に入り、大会社だけでなく有望なベンチャー企業に入った者もいます。博士課程に入ったらアカデミアという、学生さらには企業サイドのキャリアパスの意識を大きく変えたと自負しています。
良い成果をもたらしているのは、現代の社会の変化、非常に速いスピードの変化に対応して、プログラムの取り組みを拡大してきたことが大きいのではないかと思います。
画:クロイワ カズ
どう視点を拡大されたのですか。
朝日:エネルギー問題ひとつをとっても、このプログラムが始まる直前、福島の原発事故がきっかけとなって、それまでの原子力による二酸化炭素削減という政策が大きく変換しました。そのため、エネルギー産生、供給 に対する考えも変わりました。
そして、2015年に国連サミットで採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」が、2030年までに人類が達成する目標として関心を集め、多くの国や企業が積極的に取り組んでいます。また、日本では2016年に「ソサエティ5.0」という基本指針が政府によって提唱されました。「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会課題の解決を両立する、人間中心の社会」の実現が目標とされたのです。
このように変化の早い社会の中で、リーダーとなる人材を輩出するためには、当初の目標の達成はもちろんのこと、もっと長いスパン、少なくともSDGsが目標としている2030年を見据えて、柔軟にプログラム展開を図り、大学が各界と協働して、グローバールリーダーの卵である博士の育成基盤を維持できるかが重要だと思います。

※本企画は、当社の協賛で日経サイエンス誌に広告として掲載しているものであり、当社の研究開発、製品等と直接の関係はございません


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