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パリで大規模テロに遭遇した話 - FRANCE -

No.506/2020.02
化学カンパニー・技術戦略部/ 猪股 史朗
画:クロイワ カズ

2015年11月、ドイツに駐在中の私たち一家(妻、3歳の息子と私)は、4日間の休暇を取ってパリに来ていました。金曜日の朝、車で出発、約5時間かけてディズニーリゾートのホテルに到着。この旅行の目的は、パリのディズニーランド(DLP)を堪能することです。効率的に回るために、到着日は車で外回りを下見。地図と見比べてDLPの概要を頭に入れ、明日からに備えて夜は早めに寝ました。夜中の2時ごろ、枕元の携帯に着信音。寝ぼけ眼で電話を取ると、日本から義母です。

「あなたたち、パリに居るのでしょ。大丈夫?」一瞬、何のことか分かりません。テレビを点けろと言われて、スイッチを入れました。が、画面ではディズニーのキャラクターたちが楽しそうに踊っています。横で不安そうに聞いている妻に電話を代わり、私はチャネルをBBCに合わせると、興奮したアナウンサーが叫んでいます。パリ市内のレストランや劇場でテロがあったようです。ホテルから遠くないサッカー場では、ドイツとフランスの試合の最中に自爆テロがあったとか。同時多発テロです。パリ中が騒然としているようで、朝まで眠れません。まず、日本からの出張者2名がパリに滞在しているので、彼らに連絡を取り無事を確認、自分たちの無事も併せてドイツの上司に電話で伝えました。パリでは非常事態宣言が出され、行楽地はすべてクローズド。でも、ホテル側の配慮で、DLPからミッキー始め、マスコットたちがホテルにやってきて、踊りを披露。退屈していた息子は大喜び。お土産も買い与えて、その場は何とか納得したようです。

休暇の最後、月曜日にドイツに帰りましたが、息子はやはり消化不良です。結局、2年後に再度訪問。この時は親子ともどもDLPを堪能することができました。