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本場四川のラーメンを食べられなかった話 - CHINA -

No.508/2020.04
化学カンパニー・ファインケミカル営業部/ 桑島 浩一
画:クロイワ カズ

上海に約10年駐在し、大抵の中国料理は抵抗なく食べることができるようになった積もりです。しかし、本場四川の辛さは別格です。2015年の春、重慶を訪問したときのこと。重慶は今では中央直轄市ですが、元々は四川省の中心都市。味付けも本場四川料理です。

重慶に着き、ホテルで小休止の後、小腹が空いたので近くのレストランに入り、拉麺(ラーメン)をトライしました。注文する時、「辛くないか?」と訊くと、応対した20歳前後の女性服務員が「心配しなくても、決して辛くない」というので注文しました。さて、出てきた拉麺は、見た目普通のスープ。が、箸でつまんで口に入れると、途端に舌がビリビリと痺れるような感覚が全身に走り、思わず全部出してしまいました。本場四川料理の辛味には、唐辛子の舌がヒリヒリするような「辣味(らつみ)」と、山椒の舌が痺れるような「麻味(まみ)」があるのですが、上海では辣味や麻味は上海人向けにかなり抑えられているのか、日本人でも何とか食べられます。が、重慶のものは、正に麻辣味(マーラーウェイ)。両方の辛味が一挙に襲ってくる。

「辛い!」と悲鳴をあげてしまいました。「これは全然辛くありません。皆さん美味しいって食べますよ」先ほどの服務員が言います。「じゃあ、ちょっと食べてみてよ」というと、少し口に入れて、「全然辛くない」と涼しい顔。諦めて勘定だけ済ませ店を出ました。

私は何を食べればいいのか途方に暮れて、仕方なく近くにあったコンビニへ。最近では、中国でも「三明治」と書かれたサンドイッチは、日本のものと変わらず、これなら安心です。ドリンクの甘いオレンジジュースも一緒に買って、寂しくホテルに帰りました。