MENU

インド人乗客とのエルボー・ファイトを楽しんだ話 - THAILAND -

No.514/2020.10
化学カンパニー・ファイン営業部/ 東 洋介
画:クロイワ カズ

タイの新工場立ち上げから営業開発の仕事で5年半バンコクに駐在、今年3月に帰国しました。仕事では近隣への出張が多く、中でもインドには度々出かけました。

私は、元々、インドという国が好きで、学生時代にも何度か旅行し、バックパッカーとして1ヵ月間放浪したこともあります。インド人の友だちもたくさん居ます。

インド出張では、バンコクの空港から楽しみなファイトが始まることがあります。ファイトの場所は、席と席の間にあるアームレスト(ひじ掛け)の上です。ビジネスクラス以上では、それぞれの席に専用のひじ掛けがあって、この楽しみは味わえません。

その日、私は早めにコルカタ行きのフライトに搭乗、内側の席に座りました。ひじ掛けを下ろし、ドカッと腕をおいて独占します。やがて、隣の乗客がきて腰を下ろします。私はひじ掛けを占領したまま知らん顔です。隣人は座席で一息ついた後、ひじ掛けを一瞥、そこが既に占領されているのに気が付いたようです。やがて、無言で太い腕をひじ掛けの隅に載せ、グイグイ押し付けてきました。ひじ掛けの半分は自分が占有できるはずだ、と主張しているのです。面白くなりそうな予感!理は相手にあり、私は侵略者を装います。このひじ掛け争奪戦を私は「エルボー・ファイト」と勝手に呼んでいます。狭い土俵の上でのファイトは長くは続きません。5分後、相手の腕の毛が密着してむず痒くなり、私が負けて肘を下ろしました。ファイトが終わればノーサイド。

「ジャパニーズ?」「イエス」から楽しい会話が展開します。相手は、私と同年代のインド人でした。

1時間のフライトですっかり打ち解けました。こうして、また1人、インド人の友だちが増えました。