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ドイツ駐在3年半の想い出はヒゲという話 - GERMANY -

No.517/2021.01
ナイロン・ファイン事業部/ 佐直 英治
画:クロイワ カズ

3年半ドイツに駐在し、昨年8月に帰国しました。現地会社には45人の社員がいますが、日本人は私を含めて2人です。出勤最初の日、皆さんに挨拶の後、握手して回りました。驚いたことに男性社員の殆どが立派なヒゲを生やしています。それを見ていると、悪戯心が湧いてきました。日本では無理だろうから、ドイツに駐在する間だけでも自分もヒゲを楽しみたい。

早速、ヒゲ専用のバリカンとゾーリンゲンの剃刀を買ってきて計画を立てました。どんなヒゲにしようか。明治の偉い人が付けていたような長いヒゲは無理です。生えるのに時間がかかるし、好物のラーメンを食べるのに邪魔になりそうです。私に似合う、オリジナルなヒゲを作りたい。そう考えて自分の顔にマッチしたヒゲ作りに専心しました。先ず、ヒゲの長さを3ミリと定めました。この長さだと、ホオ、クチ、アゴの全体に生やしても不潔感はなく、日本人にも似合いそうです。週に2~3回、サボることなくバリカンと剃刀で手入れを続けていくうちに自分のヒゲに愛着を感じるようになりました。そして半年後、これぞ私のダンディズム、自分でも納得できるヒゲ面が出来上がりました。家族は反対ですが、会社のドイツ人たちには好評です。

当初は、日本に帰任する時には剃り落とすつもりでしたが、今やヒゲは私のアイデンティティ。剃ればドイツの想い出を失うような気がして、そのまま帰任しました。日本は、丁度コロナ騒ぎの最中。会社でもマスク着用の義務があり、折角のヒゲを披露するチャンスは少なく、精々オンライン会議でマスクを外して、直ぐに顔を覚えてもらう程度でした。早く、常時マスクなしで、会社の皆さんの反応を楽しみたいと思います。