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スリ被害でお土産を買い損ねた話 - HOLLAND -

No.411/2012.03
宇部マテリアルズ(株)/ 岩本 利一
画:クロイワ カズ

10年前、4人でヨーロッパに出張した時の話です。最初の目的地はオランダ。昼過ぎにアムステルダムに着き、空港で両替してホテルに直行。夕食には早いので街を散歩することに。中央駅の辺りで、2人の男に呼び止められました。警察手帳らしきものを見せられ、4人に緊張が走ります。
「きみらはフィリピン人だろう。我々は麻薬捜査官だ。パスポートを見せろ」流暢な英語で尋問されました。

パスポートのチェックと簡単な身体検査の後、「偽札を持っていないか。財布を見せろ」と言います。一瞬「?」が頭をよぎりましたが、早く疑いを晴らしたい一念から全員が財布を渡しました。特に怪しい素振りはなく「協力ありがとう」と財布は返されました。

夕食後、1人が財布から少し抜かれたようだと言うので、自分の財布を調べました。初めてのユーロ紙幣なのでよく分りません。部屋で両替証と照合してみると、確かに少し足りない。翌朝、全員が被害額を申告。日本円をガッポリ抜かれた者もいて、被害総額は約20万円。流石はプロの手口と、感心するやら腹が立つやら!

貧乏旅行を強いられながら、何とかドイツで最終日を迎えました。この日は買物デー。先ずは腹ごしらえにレストランで最後の昼食。メニューはすべてドイツ語でよく分かりません。とに角一番安いものをと、魚の絵のある、極端に安い一品を頼みました。待つこと暫し、大皿に魚のグリルが丸ごと1匹。食べてみると美味しい。大満足で食事を終え、勘定書を見てビックリ。メニューの数字はグラム単価だったのです。食べたものは払わないわけにはいかない。全員なけなしのお土産代を使い果たしました。奥様方御免なさい!