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携帯マップでスペインを走破した話 - SPAIN -

No.425/2013.05
ラクタム製造グループ/ 篠丸 竜治
画:クロイワ カズ

2009年の10月、スペインの現地会社に駐在が決まり、一足先に単身で赴任しました。休日はもっぱらドライブ。近隣の地図を覚えるのにも役立ちます。

ある日曜日のこと。少し遠出した帰り、道に迷ってしまいました。車にはナビがなく、小さな町の狭い道をグルグル廻るばかりで幹線道路に出られません。通行人に英語で話しかけても答えはスペイン語。着任したばかりでスペイン語は全くのカタコトです。仕方なく、車を停めて地図の掲示板を探すことにしました。日が暮れて帰れなくなるかもしれないと焦ります。

山の頂上のようなところをウロウロしていると、突然「シノマル、シノマル!」。誰かが呼んでいます。何と!仕事仲間のフィデール。彼の英語もそれほどではないのですが、意思は通じます。この町にある奥さんの実家を訪問し、偶然通りかかったのこと。地獄で仏とはこのことです。事情を話すと、携帯電話を見せろといいます。私のはスマートフォンのブラックベリー。それを渡すと、何やら操作しています。彼はシステムエンジニアなのでIT機器には強い。あっという間にグーグルマップをダウンロードして、私に現在地を示してくれました。自分の携帯電話にこんな機能があったのか。感心するやら有難いやら…。お陰で難なく家に帰ることができました。

後日家族が来てからも、ドライブはすべて携帯マップ頼りで、ナビは買いませんでした。これさえあれば、何処に行っても大丈夫。スペイン国内はほとんど走破しました。

2年間の駐在は楽しい想い出となりました。これもフィデールのお陰。彼には家内ともども感謝しています。

今度チャンスがあれば、彼が欲しがっていた日の丸の入ったTシャツをプレゼントしたいと思います。