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カメムシが怖くてエアコンを我慢した話 - SINGAPORE -

No.429/2013.09
建設資材カンパニー/ 西河 麻紀子
画:クロイワ カズ

2009年から2年間の研修でシンガポールに駐在しました。アジアとはいえ、ここはレディーファーストの国。エレベーターや玄関の出入りは、どうぞお先へと促されます。荷物も男性が持ってくれ、体育会系気質の私には女性天国!でも、困ったこともありました。

私の住居は中心地に近いノベナ地区にありました。高層アパートの12階に1人住まいです。赤道直下のシンガポールでは、一年中暑くエアコンは必須。万一、故障すると灼熱の地獄となるので、定期的なメンテナンスは欠かせません。一般的にメンテ費用は家賃に含まれています。

赴任したばかりの頃、メンテを予約しました。が、業者がアバウト人間らしく、約束の時間に来ません。貴重な土曜日なのに時間はどんどん過ぎていきます。電話すると「ゴメン、忘れていた」。漸くやってきたものの、作業ぶりはお世辞にも丁寧とはいえません。特にお願いしたかったのがエアコン内部の清掃。というのは、締め切った部屋に、何処から入るのか、時々カメムシが現われるのです。一番怪しいのがエアコンの中。壁にはめ込んであり、素人に掃除は無理。この機会に徹底的に見てほしかったのです。でも作業は10分ほどで終わり、「異常ありません」と帰っていきました。

ところが、エアコンを点けて暫くすると、また現われたのです。気持ちが悪いので、寝る前にエアコンめがけて殺虫スプレーを思い切り噴きつけました。

翌朝、目が覚めると、何と!床にはカメムシの死骸が散乱!ギャーッと叫んで、足が震えました。

これで全滅したのか、その後は出なくなりました。しかし、あのおぞましい光景が頭から離れず、暫くはエアコン恐怖症。汗だくになりながらもウチワを頼りに省エネ生活を余儀なくされました。