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この国では遠慮は損という話 - U.S.A. -

No.461/2016.05
宇部興産機械(株)/ 山根 隆
画:クロイワ カズ

入社6年目に初めての長期出張が巡ってきました。行先は米国・インディアナポリス。デトロイトに次ぐ自動車工業のメッカです。直行便はなく、成田からシカゴ経由ですが、この便が運悪く満席で、しかも私の席がダブルブッキング。どうしていいか判らず、オロオロしているとエコノミーからビジネスに替えてくれました。幸先良し。黙っていたらいいことがありそうだと思ったのですが、これが大間違い。

滞在が長くなるので、月極めレンタカーを借りました。渡された車がオンボロ車。窓の開閉は手動式、ハイウェーでは必需品のクルージング機能がありません。1ヵ月間我慢して乗りましたが、料金を払う時に車を替えてほしいと頼みました。希望を訊かれて、パワー・ウィンドーにクルージングと言ってみました。すると、真新しい車を渡されました。何と!同じ料金だといいます。

また、本部との連絡に必要なパソコンを中古ショップで買いました。持ち帰って使ってみるとCDの挿入口が開きません。安かったので仕方ないかとも思いましたが、念のため翌日、店を訪ねてクレームをつけました。すると、何も言わずに別置きのディスクドライブをタダでくれました。

これらの経験から、この国では言わなきゃ損だということを学びました。お陰で滞在中は快適に過ごすことができました。

帰国の日、シカゴから成田行きの便がまた満席です。ダブルブッキングはなかったのですが、ビジネスクラスが空いているようなので、ダメ元でそちらの席をほしいと頼んでみました。今度は、言下に「インポッシブル!」と冷たい返事。当然ですよね。私も3ヵ月の滞在で少しはアメリカナイズされたようです。