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赴任地でのヨットライフは楽しいという話 - U.S.A. -

No.463/2016.07
宇部興産機械(株)/ 丸末 善朗
画:クロイワ カズ

私の趣味はヨット。日本(宇部)でも家族を乗せて瀬戸内海クルージングを楽しんでいました。アメリカ駐在が決まり、赴任地は五大湖の近く。このチャンスを逃す手はないと、赴任早々中古のヨットを手に入れました。ヨットには「クイック・デシジョン」という名前がついていました。面白いのでその名前を踏襲しました。

係留地はエリー湖。ミシガン州モンロー市の近くにあるマリーナを選びました。エリー湖は緯度的には札幌と同じ。淡水湖なので冬は凍結するので陸上に保管します。シーズンは5月から10月。4月に進水の予約をして、船底塗料を塗り、メンテに入ります。ヨット乗りにはこれがまた楽しい。

ある日、妻と2人の娘を連れてマリーナに来て、私は船内で作業をしていました。妻は桟橋で読書、娘たちはマリーナを自転車で走っていました。突然、近くで「ドボーン」という音、続いて妻の叫び声が。何だろうと桟橋に出てみたところ、自転車は横倒しで、5歳になる長女の姿がありません。妻の視線を追うと、湖面にもがいている長女が!どうやらハンドル操作を誤ったようです。ここはクイック・デシジョン、考える余裕もなく靴と財布を桟橋に置いて私も飛びこみました。抱き上げると娘は落ち着きました。泳いで岸にたどり着いた時には大勢の人が集まっていました。無事に引き上げられると一斉に拍手。恥ずかしいやら冷たいやらー。

幸い娘には怪我もなく、ヨットを怖がることもありませんでした。その後も毎年、シーズンにはクイック・デシジョン号で40海里(74km)離れたオハイオ州の島に家族で遊びに行きました。

アメリカでのヨットライフは、私にも家族にもとても楽しい想い出となりました。