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MBA留学でまとめ役を買って出た話 - SPAIN -

No.473/2017.05
合成ゴム事業部/ 森川 正
画:クロイワ カズ

スペインのIEビジネススクール留学時の「ダイバーシティ体験記—その2」です。

スペインは未だワイン文化の色濃い国です。ところが、スペイン最大手のビール会社「マオウ(Mahou)」では、21世紀の若者にビール文化を築いてもらうのをターゲットに、大きく売り上げを伸ばす計画を立案中です。そのためにどうするか。グループ毎にコンサルタント業務のコンペです。私のグループのメンバーは6人、アメリカ、ドイツ、イタリア、アルメニアなどからの留学生で、私以外は個性の強いメンバーばかりです。

まずブレイン・ストーミングから入ります。メンバーは口々に自分のアイデアを主張し、他人の意見を聴きません。「船頭多くして船山に登る」の例え通り、議論はとんでもない方向に進んで行きます。これでは、いけない。私は自分の意見を抑えて他人のアイデアの長所をまとめる調整役に徹しました。ところが、ある日、アメリカ人のE氏からお叱りを受けました。

「君は何もしてないじゃないか」

調整役としての私の貢献を認めようとしないのです。カチンと来た私は開き直りました。

「そこまで言うなら私が最終案をプレゼンの形にまとめて見せよう。文句があるなら明日言ってくれ」

自分の意見を英語で主張するのは簡単ではありませんが、考えながら文章にまとめるのは自信がありました。

翌日、自分で作った資料を基にチーム内でプレゼンし、大筋の合意を得ました。


1ヵ月後の本番でも役員の前でチームとしてのプレゼンを行い、優勝は逃したものの準優勝に輝きました。日本人が得意の「まとめ役」も個性として尊重されるべきだと思います。