MENU

カナダ旅行ではルールに御注意という話 - U.S.A. -

No.481/2018.01
化学カンパニー・戦略統括部/ 河裾 伸
画:クロイワ カズ

ニューヨーク駐在3年目の夏、休暇を利用して妻とカナダのモントリオールに2泊3日のドライブ旅行に出かけました。片道5~6時間かかりますが、交代で運転すると疲れません。妻が運転して国境近くに来た時です。右の路肩に1台の車が停車して、パトカーから降りた警官が何かを調べています。事故かな?スピードを落として隣の車線を通り過ぎたのですが、後ろから先ほどのパトカーが追跡してきて停車を命じます。

「この車線を走るのは違反です」と警官。何でも『ムーブオーバー・ロー』という新しい法令で、警察官が取り調べをしている時には隣の車線を走行してはいけないというのです。初めて聞くルールですが、違反なら仕方ありません。200ドルほどの切符を切られました。

モントリオールは、ケベック州最大の町。ケベックといえばフランス語圏。周囲から聞こえる会話もほとんどがフランス語。石畳の旧市街はゴシック調の教会が所々に見られる美しい街です。異国情緒に浸っていると、あっと言う間に2日が過ぎました。帰りに、チーズ、パン、メープルシロップなどの食料品を買い込んで、帰宅の途へ。アメリカとの国境に差し掛かりました。アメリカ税関によるチェックがあります。
「何を買いましたか。申告するものはありますか」
「パン、シロップなどの食料品です。申告するものはありません」
トランクを開けて中をチェックしていた係官が大きな声を出しました。「これは持ち込み禁止です!」
見ると、朝市で妻が買った真っ赤なパプリカが4ケ。知らなかったのですが、野菜類は原則輸入禁止なのです。パプリカは没収、おまけに長々と説諭を受け、折角の異国情緒の余韻も何処かへ吹き飛んでしまいました。