MENU

「翼」第5号:地域の顔


地域の顔

「やさしい病院」づくりを語る 福本院長 「やさしい病院」づくりを語る
福本院長

このコーナーでは『地域の顔』として活躍していらっしゃる方々にお話を伺います。
今回は、10月1日に医療法人として新たなスタートを切った宇部興産中央病院の院長、福本陽平さんです。

-宇部興産中央病院ってどんな病院ですか?

24時間365日の救急受け入れに加え、診療所や他の病院、介護・福祉施設からの紹介で高度な医療を行っており、市民病院的な役割を担っていると思います。治療や手術が中心の一般病棟、病状が安定した患者さんが在宅や介護施設への復帰支援を受けながら入院を継続する「地域包括ケア病棟」、退院後の自立に向けてリハビリを専門的に集中して行う「回復期リハビリテーション病棟」があり、患者さんが、安心して家庭に復帰できるよう、病状に合わせた療養・回復のためのサービスを提供しています。

-地域から期待されていることは?

在宅医療のトレンドが加速する中で、当院には、より地域に根差し、地域の声に応え、地域の皆さんに寄り添ったサービスを提供することが期待されていると思います。現在、往診など在宅医療を行っておられる診療所に対し、緊急時のスムーズな入院受け入れに加え、当院の専門医師や認定看護師の活用といった更なる後方支援を検討しています。医療法人化に踏み切ったのは、企業立病院の枠を超えて、在宅支援を含めた「包括的な医療」に取り組むためなのです。

-宇部興産中央病院の将来像は?

ますます多様化するニーズに応え、救急や高度な医療を提供し続けるため、18年に新病棟を建設する予定です。救急センター、手術室、高度治療室を集中させ相互機能を高めます。高度な救急医療体制を維持することも、市民の安心を守る上で、当院の役目だと考えています。

-福本院長はどんな病院にしたいですか?

5年前、当院に赴任後すぐに、スタッフに向けて「やさしい病院」づくりというメッセージを出しました。患者さんに「やさしい病院」は「職員に対しても、職員同士もやさしい」という意味を込めました。当院は、常にそんな優しさのあふれる場所として、夢の持てる病院でありたいと思います。

こぼれ話

院長応接室で記念撮影もしちゃいました 院長応接室で記念撮影もしちゃいました
私たちと一緒に働いてみませんか♪♪♪ お問合せはコチラ 私たちと一緒に働いてみませんか♪♪♪
お問合せはコチラ 新しいウィンドウが開きます

福本院長を中心に「やさしい病院」づくりに取り組む宇部興産中央病院。今回、お話を伺った中から、取り組みの事例を紹介します。

コミュニケーションの基本はやっぱり挨拶
当院では、多くの場合、患者さん1人に対し、医師・看護師・検査技師など複数のスタッフが関わることになります。従って、患者さんに最適な医療を提供するためには、スタッフ同士のコミュニケーションがとても重要です。些細な事象でも他のスタッフに相談・共有できる雰囲気でなければなりません。私は、スタッフの皆さんに、「お互いがやさしさを持って丁寧に接してくださいね」とお願いしています。病院に限ったことではありませんが、日々の業務に忙殺されると、余裕がなくなってしまい、職場の雰囲気が悪くなりがちです。スタッフは、それぞれプロなのですから、お互いに尊重し、敢えて気にして丁寧に接することで、悪い雰囲気はリセットされ、良い職場がつくれると思います。基本的なことですが、挨拶は大事です。「おはようございます」や「こんにちは」、「こんばんは」に「お疲れさま」、声を掛けた方も掛けられた方も何となく爽やかな気持ちになる魔法の言葉です。当院では、職場づくりの基礎として、特に大切にしています。

将来の担い手づくりも大事
近年、特に地方での医師不足・看護師不足が問題となっています。山口県も例外ではなく、若い世代ほど深刻な状況です。例えば、医師なら、35歳以下が非常に少ないといった感じです。つまり、地域医療においては、若い世代の医師や看護師を確保することが喫緊の課題となっています。当院では、短期・中期の対策を講じるとともに、さらに1世代先を見据えて、中学生の職業体験を受け入れています。医療を目指す(或いは興味のある)子供たちに対して、我々は「職業体験」の場を提供し、そこで彼らが将来を決める指標になるような経験をする。そんな彼らが、大人になって立派な医師や看護師になって戻ってきてくれれば、地域医療にも貢献できるのかなと考えています。実は、準備や対応が結構大変なのですが、将来の担い手がいないと当院も成り立たなくなりますから、一生懸命やっています(笑)。

地域連携室の役割
地域連携室は、文字どおり地域と病院を結ぶ役割を果たしています。例えば、診療所の先生が、患者さんを入院させたいと思ったとします。確かに、医師会の先生と私は顔見知りですが、いちいち私が電話を受けて調整して、というわけにはいきません。ベッドの空き状況も把握しないといけませんし、担当医との調整も必要です。入院ひとつとっても、案外手間が掛かります。そんな時は、地域連携室の出番です。診療所の先生が、地域連携室に連絡するだけ、ワンストップで手配完了です。院内の調整は、全てここがやってくれるので、患者さんやご家族の負担も軽くて済みます。地域連携室は、入院・退院や転院の相談はもちろん、外部との調整が必要なものを一手に引き受けてくれている、「なんでも屋さん」です。どんなことでも、まずは気軽に相談してほしいですね。

担当者から一言

福本院長には、『紳士』という言葉がピッタリだと思います。インタビュー中は、柔らかい口調で、ちょっと照れくさそうに、でも主旨を理解して的確に答えてくださいました。その口から、「やさしい病院」づくりという話題が出た時、あまりにしっくりくるので、思わず笑ってしまいそうになったくらいです。現在もプライマリーケアを中心に、外来を診ておられるそうですが、ファンも多いと思います。いろいろ相談に乗ってくれそうですもの。予防医療にも力をいれておられるそうなので、健康な(ハズの)私は、人間ドックからかなって感じです(笑)。
(担当:吉永)