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「翼」第7号:工場の製品を紹介


工場の製品を紹介 宇部ケミカル工場

宇部興産では様々な電池材料(セパレータ、電解液等)を製造しています。これらは私たちの生活でなくてはならない「リチウムイオン電池」の部材です。今回は宇部ケミカル工場と堺工場で製造している、「セパレータ『ユーポア®』」についてご紹介します。

リチウムイオン電池の用途

セパレータ「ユーポア®

セパレータは、リチウムイオン電池の正極と負極を分離し、イオンの伝導性を確保する薄いフィルム(絶縁材)です。イオンが電極間を通過できるように、0.1µm 程の目に見えない小さな無数の孔が開いています。

リチウムイオン電池
リチウムイオン電池使用時の構造

製造方法

「ユーポア®」は、人体に有害な溶剤を使用しない、UBE独自の「乾式製法」にて製造します。優れた耐熱性と環境配慮型製造プロセスという特長で、世界でもトップクラスの製品に位置づけられています。

製造方法

UBEのセパレータの未来

  • ハイブリッド(HV)、プラグインハイブリッド(PHV)、電気自動車(EV)などの車載用途を中心に市場が拡大。
  • 設備再構築による能力増強を実施(2016年7月完工予定)。需要増大にタイムリーに対応し、市場の成長を牽引へ。
  • より安全性を高め、高機能にグレードアップするために新しい技術を積極的に導入。市場占有率の向上を目指す。

HV、PHV、EVの世界市場 地球環境に優しい電気自動車の未来をUBEの環境に優しい製法で支えます!

こぼれ話

ユーポア1-1 ユーポア1-1
セパレータ セパレータ

リチウムイオン電池におけるセパレータの役割
セパレータは正極と負極を隔離して短絡を防止すると共に、セパレータの空孔内に電解液を保持して電極間のリチウムイオン伝導の通路を形成する役割を担っています。また、130°C前後で溶融して空孔が塞がることで、電池反応を停止させ、異常発熱を防止する重要な機能も有しています。
セパレータは、リチウムイオンの伝導抵抗を少なくして電池の出力を高めるために空孔率をより高くすること、電池を小型化するために膜をより薄くすることを要求されています。それと同時に電池の変形や衝撃に強いという、相反する物性を兼ね備える必要があります。
乾式製法とは
セパレータの製造方法には、当社独自の乾式製法と一般的な湿式製法の2種類があります。乾式製法とはポリプロピレン、ポリエチレンをフィルム状に成形し、加熱しながら延伸することで結晶と結晶の間に隙間を生じさせ、微細な孔を空ける製法であり、溶剤を使わないため、比較的安価で環境にやさしいと言えます。
一方、湿式製法は、あらかじめ樹脂に溶剤を混ぜ込みフィルム状に成形した後、溶剤を抽出して孔を空ける製法であり、耐熱性や強度を高めることができる半面、設備コストが高く、溶剤による大気汚染や安全性にリスクが生じることがあります。
宇部ケミカル工場のセパレータの歴史
UBEのセパレータは血液分離に使用される血しょう分離膜(多孔中空糸)から始まります。その後、同技術を応用した浄水器を開発し、当時の清水社長から「清水くん」というUBEブランドで製造販売を開始しました。時を同じくして多孔中空糸をフィルム状にしたリチウムイオン電池用途の開発を進め、1997年に商業用量産設備を建設しました。その後2011年に7系列まで増強し、現在に至っています(8系列以降は堺工場に展開中です)。

担当者から一言

今回ご紹介したセパレータはリチウムイオン電池の原材料となるものですから、直接私たちの目に触れることはありません。しかし、スマートフォンやパソコンの中で影ながら私たちの生活を支えています。これから電気自動車などの普及が進めば、より一層なくてはならないものとなるでしょう。
私たちが宇部ケミカル工場を安定・安全に操業することが未来の世界の豊かさにつながるのだと思うととてもわくわくします。未来を創る一員として微力ながら貢献していきたいです。
(担当:宇部ケミカル工場 工場管理G M.K.)