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「翼」第8号:地域の顔


団長の小野一宗さん

団長の小野一宗さん

新団員2名を迎えた入団式

新団員2名を迎えた入団式

カッター訓練の様子

カッター訓練の様子

今回は、【海洋少年団】の皆さんです。

-どんな団体ですか?

私は団長の小野一宗です。宇部海洋少年団は、昭和43年、青少年の健全育成を目的に日本海洋少年団の下部組織として結団されました。宇部市は瀬戸内海に面しており、漁業も盛んでしたし、臨海部には工場群を有しているため、原料や製品の運搬に携わる海運業者も多くありました。海に関わる人材が育つという面からも、海洋少年団の結団は歓迎されたそうです。再来年には50周年を迎えますが、役員をはじめ、父母の会にもOB・OGが多く、団結力は抜群だと思います。

-主な活動は?

宇部海洋少年団では、団体生活を通じて子ども達の道徳心を養い、心身ともに健康でたくましい人間の育成を目指しており、手旗・ロープワーク・カッター漕ぎなどの訓練に加え、海岸清掃等の奉仕活動にも積極的に参加しています。現在、22名の団員が所属しており、毎月第2・第4日曜日に、青少年会館や宇部港などで訓練を行っています。隔年で開催される全国大会や中国地区大会では、手旗・結索・水泳・カッター競技の総合得点で日頃の成果を競っており、毎年優秀な成績をおさめています。

-カッター訓練って?

宇部海洋少年団が活動の中心に据えているのが、カッター訓練です。カッターは、全長6メートルの手漕ぎボートで、漕ぎ手6名と艇長(梶を切る人)、艇指揮(号令をかける人)の8名が乗り込み、競技ではタイムを競います。長さ2メートルもある木製のオールは重く、子ども達には、ただ漕ぐだけでも大変な作業です。また、乗員全員の歩調が合わなければ進まないのもカッターの特徴です。艇をスムーズに進めるには、一糸乱れぬチームワークが絶対なのです。とは言え、息がピッタリ合った時の「海洋を滑るような」感覚は素晴しく、充実感も格別です。子ども達は、カッター漕ぎを楽しみながら、自然に団結心を高めています。

こぼれ話

カッター訓練には、OB・OGも参加しています

カッター訓練には、
OB・OGも参加しています

毎年夏に開催される「宇部市海の日カッターレース競技会」

毎年夏に開催される「宇部市海の日カッターレース競技会」

リーダーの育成
宇部海洋少年団には、小学1年生から入団できます。小学1年で入団した子ども達は、学年が上がるにつれて任されることが増え、同時に下の学年に教える機会も増えていきます。そして、中学生になると小学生をまとめ、高校生になると全体をまとめるようになります。まるで大人の社会みたいですね。海洋少年団では、訓練や合宿を通じて、団結心を養うのはもちろん、リーダーの育成にも力を入れています。「小学校から高校まで海洋少年団で活動すれば、社会で活躍できる人材としての基礎が身に付きます」という小野団長の言葉には、長年携わってこられた経験による自信が垣間見えます。
因みに、副団長の後山さん、笠井さんも結団当時の一期生、つまりOBです。他にも多くのOB・OGが卒団後も色々な形でサポートしてくれていて、こうした大人の姿を見れば、子ども達が立派に育つのは自然なことかもしれません。
海の日カッターレース競技会
7月の第4土曜日に宇部港で開催される「宇部市海の日カッターレース競技会」。この大会は、宇部市花火大会を盛り上げるイベントとして行われ、今年で23回目になります。宇部海洋少年団では、練習から準備・大会運営まで父母の会やOB・OGの手も借りながら、全面的にサポートしています。カッター(6人乗りの手漕ぎボート)は、大人には少々小さいのですが、地元企業・団体から力自慢の大人たちが参加して、コンマ1秒を競う姿は、一見の価値アリです。露店も出ており「夏祭り」らしく、参加でも観戦でも楽しめるイベントとなっています。

担当者から一言

今回お話を伺った小野団長、後山副団長は、元貨物船の船乗りさん。お2人が乗船していた頃は、1つの貨物船にコックさんも含めて30名~40名のクルーが乗り込んでおり、同年代のクルーもたくさん居たので「毎日が楽しくて、お祭りみたい」だったようです。現在は、機械化が進み、大きな貨物船でも3分の1ほどのクルーで運航できるようになったので、「お祭り」の代わりにクルーの休暇が増えたそうです(笑)。「ひとたび船に乗れば、当分帰らねぇぜ」なんてキザなセリフは言えなくなりましたが、職場としては当時よりずっと快適になっているし、制服もカッコイイし、海洋少年団の子ども達には、将来の船乗りさんを目指して欲しいものです。
(担当:吉永 龍男)