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5マイルマラソンで悔しい思いをした話 - USA -

No.513/2020.09
宇部興産機械(株)/ 生田 潔
画:クロイワ カズ

射出成形機の拡販で、シカゴに駐在していた時の話です。シカゴでは、秋の本格マラソンと並んで、春に開催の「シャムロック・シャッフル」という5マイル(8キロ)のマラソン大会が有名です。これは、3月17日の聖パトリックスデーを中心に行われる、国を挙げてのお祭りイベントの一つ。距離が短く、気軽に参加できる、人気マラソンで、毎年、3万人を超えるランナーが各国から集まります。

東京生まれの私は根っからの野球少年。大学までずっと野球部で、脚には多少自信があります。シカゴでも、同じような体育会系の日本人が20人ほど集まって仲間を作っていました。私は年少組ですが、仲間には甲子園や大学ラグビー選手権出場者などの猛者が何人も居て、それぞれの経験から勝負魂(勝負に勝つためには自分に勝つという克己の精神)こそが「人間力」だと確信しているメンバーたちです。

2003年3月、シカゴの想い出作りにこの大会に参加しようと、全員でエントリー。大会の前日、繁華街でゼッケンの配布や前夜祭があり、大いに気勢を挙げました。仲間内では、親睦マラソンなので勝負に拘らず、一緒に走ることを合意しました。

翌朝、スタート地点には長い行列で号砲から暫くしてスタート。仮装して参加のランナーも多く、我々20名は雰囲気を楽しみながら仲良く並走。沿道を埋め尽くした観衆からも熱い声援で、最高の気分です。が、残り1㎞地点で、先輩たちは沿道の声援に発奮したのか、突然、猛スパート。私は追いつけずに、大きく離されて惨敗です。

彼らとは毎年のように顔を合わせますが、今でも「お前の人間力も未だしだな」といびられます。