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「翼」第8号:環境安全部だより


環境安全部だより 万が一に備えて常に訓練を重ねるケミカル防災隊

数階建ての建物に匹敵する高さで水のカーテンを展開する水幕放水訓練風景 数階建ての建物に匹敵する高さで
水のカーテンを展開する水幕放水訓練風景

宇部ケミカル工場では石油コンビナート等災害防止法に基づき、事業所従業員で組織された自衛防災組織である「ケミカル防災隊」を設置しています。普段は生産や事務などの業務についている従業員が、災害発生時には直ちに防災のための対応を取って被害を最小限に食い止めます。
工場では災害を起こさないようにさまざまな防災対策を講じていますが、大地震など事前対策では防ぎきれない災害も起こりえます。不運にも緊急事態が発生した際には、工場内で働く人々の人命の保護はもちろん、近隣住民のみなさまにご不安を与えるような事態に発展しないよう、効率的な防災活動を行うための方策を講じています。
災害が発生した場合には消火隊や救護隊、オイルフェンス展張等を行う機動隊など、複数の隊で役割を分担して組織的に活動する体制が整えられています。その要ともいえるのが「消火隊消防車班」です。消防車班は宇部ケミカル工場内の各職場から選出されたメンバーで隊員を構成し、火災発生時には発災現場に駆けつけて消火活動を行います。的確な放水は初期消火に非常に重要ですので、1回2時間の訓練を毎月繰り返し、行動を身体で覚えると共に、訓練で見つかった問題点について検討を加え、次回の訓練に生かすなど、有効な防災活動を検討するよう日々努めています。
また、定期的に災害を想定した訓練も実施しており、最近ではパイプの接続部分から化学物質が漏れ出し、ガス検知器から警報が出たという想定で訓練を行いました。このときには、出動から周辺従業員の避難誘導、反応の緊急停止訓練や二次災害防止のための水幕放水訓練(写真)を実施しました。
ここ数年は山口県内で大きな工場災害が連続して発生しております。それらを他山の石とし、他社で起きた災害は当社にも起こりうることと常に考え一歩先の防災体制を築いています。

こぼれ話

甲種普通化学消防車BDG-FE8JKWA改 甲種普通化学消防車
BDG-FE8JKWA改
通常のホースの先端に水幕ホースを装着し、水幕をはります 通常のホースの先端に
水幕ホースを装着し、
水幕をはります
自由に放水方向を変えられる可動式放水銃 自由に放水方向を変えられる
可動式放水銃

工場の従業員で防災隊が結成され火災発生時に駆けつける、というと宇部市の消防署が来るまでのつなぎのような印象を持たれた方もおられるかもしれませんが、工場には本格的な消防車も法に従って配備されています。「翼」紙面で紹介した水幕放水訓練の写真に写っている消防車はその中の1台です。
まるで駆逐艦の砲塔のような放水銃を備えたこの消防車は「甲種普通化学消防車」といいます。消防自動車の国内トップメーカー株式会社モリタが装備を製作した日野レンジャーBDG-FE8JKWA改で全長は8.4メートルもあります。車体側面には20メートルの消火用ホースを6本、水幕ホースを1本装備し、工場各所に備えた消火栓に接続して毎分2,100リットルもの放水することが可能です。
また、放水だけでは消火できない火災への対応として水と混合して泡消火に対応するための泡消火剤原液を消防車内部に2,000リットルも保管しています。消防車に搭載された放水ポンプで水と混合された泡消火剤は通常の水に比べてねばり気が高く、放水後に水のように流れ去らないため、火元を消火剤が覆って酸素を遮断することによって効果的に消火を行います。そのような消火機材のほか、車内には耐熱服、空気呼吸器、防毒マスクも搭載されており、あらゆる火災に対して初期消火活動を行うことができます。
このほかにも、工場には高層の建物も多いため、それらの災害に対応するために23メートルの高さから毎分3,000リットルの放水が可能な高所放水車も配備しています。

担当者から一言

自衛消防隊の隊員は暑い日も寒い日も定期的な訓練を怠ることなく、万が一の火災に備えています。もちろん火災を発生させないことが第一ですが、もしもの時にも被害を最小限に抑えるよう鋭意、努力を続けています。
(担当:中西 貴之)